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    [5] 聖夜劇    

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中央の白い人がグランゴワール@聖夜劇
■ 聖夜劇

 翌日、プチ・シャンプラン通りへでかける。
 フニクラというケーブルで崖の下のその通りへ降りると、通りは賑わっていた。とても短く狭い通りだが、天使(?)が歩いていたり、なかなか楽しい。

 ぶらぶら歩き出すと、小さな広場があり、舞台を真ん中に人がたくさん座っている。お芝居か何かが始まるらしい。でも・・・この寒いのに、待つのなんかやだ! しかし、目の前のポスターを見ると、まさしく始まる時間だった。ちょっとだけ見て、適当なところで切り上げよう。

 始まった寸劇は、総勢10名くらいで、みんなアラブ風の衣装を着ていた。これはいったい何?と思っていたら、進行役の男性からベツレヘムという言葉が聞こえて、ああ、キリストの生誕のお話なんだとすぐわかった。この進行役、ちょっとグランゴワール的(笑)。
 その時、一つ、はっとしたことがあった。進行役が登場人物たちのことを「berges」と呼んだ。「羊飼い」という意味だが、この単語は予習していたノエル・ソングに頻繁に出てくる。
ぼくらは陽気な三博士
 私はその時ヨーロッパ的な(イギリス的な?)羊飼いを頭の中で漠然と想像していたが、キリスト生誕はベツレヘム、彼らはアラブの羊飼いだ。ノエル・ソングである以上、それは当たり前なはずなのに、私はそれに気がつかなかった。それは私の無知ゆえでもあるが、文化のバックグランドの違いを感じる。

 舞台上には妊婦姿のマリアと夫ジョゼフが登場、どうやらお役所へ何か(戸籍?)の登録をしにきているシーン、役人が書類を見て驚き、きまり悪そうにしている。きっと、イエスの父親がジョゼフじゃない、ということに対する素朴な(笑)反応を楽しく表現しているんだろう。
 そしてやたら陽気な3人組登場。「ラクダに乗った3人の男」という表現だったが、すぐに「東方の三博士」だとわかった。マリアは無事キリストを出産、グランゴワールもとい進行役は「光の子供が生まれた!」と叫び、舞台は美しくクライマックスへ。

 劇は30分ほどだったが、照明や演出もなかなかのものだった。
 
グランゴワールはバックで手を広げ、羽を広げたように見せる演出。このバックがこう変化するとは思わなかった(一番上の写真にも写ってます)
 時に舞台で流れる歌を、客席が一緒に合唱していた。私は全く知らないその曲も、こちらでは当たり前のように歌われているんだろう。 日本でクリスマスのイベントは数あれど、教会などクリスチャンの集まる場所以外で、こういうキリスト生誕の劇をやることはまずない。ケベックだってクリスチャンばかりではないだろうけど、ごく当たり前のようにこういう劇が演じられていることに軽いカルチャーショックを覚えた。
 日本ではクリスマスは単なるイベントでしかない。形だけの文化が輸入されることは、ある意味当たり前だし、それを「間違ってる!」というつもりも毛頭ない。でも、少なくともケベックで、クリスマスの持つ本来の姿、聖夜というものの聖なる部分を私は感じた。そこには「祝う」心が自然体で存在する、と思う。そう、ちょうど日本人がお正月に対して感じるものと似ている(まあ、それも年々薄れているが)。

 結局、その劇を立ったまま全部見た。よかった。ほんの少し、「クリスマス」に触れた気がした。





プチ・シャンプラン通りに現れた天使。観光客に向かっておじぎをしている。
■ みやげもの屋

 満足感いっぱいで歩き出すと、みやげもの屋があり、中に入る。

 こまごまといっぱい買ったら、おじさんは「日本から来たの?」と尋ねた。小さな店内に他に客はおらず、そして私はここでもやっぱり「ブリュノ・クエスチョン」をした。
 おじさんもやっぱりブリュノを知っていて、こないだテレビで見たよ、オルレアン島を自転車で走ってたよ(おお!きのう行ったところだ、オルレアン島!)、と言った。そして、「でも背はあまり高くないね、これくらい?女房が背伸びしながら見てたんだよ」と手でこれくらい、と指し示す。
 「いえいえ、もっと高いですよ〜!(顔は笑っているが、ちょっと怒)」と、これくらい!と「もっと高い」度を強調して私もジェスチャー。見てきたとこだよ!

 とにかく、他にも何度か試みた「ブリュノ・クエスチョン」では100%のケベコワがブリュノを知っていた。さすがだ、ブリュノ!

 おじさんに、日本人はたくさん来ますか?と聞いたら、お得意様だよ、と笑って答えた。そして、おまけにケベック旗のシールをくれた。そこには「Je me souviens(私は忘れない)」と書かれていた。この言葉、ケベックの車のナンバープレートには必ず書かれている(チェック済み)。おじさんはそういうことを説明して、ケベックのことを覚えていてね、と言った。
 当然ですとも!(笑)


 店を出て、フニクラで再び上にあがる。そしてケベックの伝統的な料理を出すという「Aux anciens canadiens」に行く。

 コース料理を頼んだから、アラカルトメニューよりは純粋に1人分だと思うのだが・・・なんで量がこんなに多いんだろう(泣)。シチューは野菜がたっぷりで、メープルシロップパイもおいしくて、喜んで食べた・・・が全部はとうてい無理。華奢で可憐なウェイトレスは「あなた、あまり食べないのね」とやさしく言ってくれたが、あなた、その細さでこれが全部食べられるの?!私、今日は朝も昼も食べてないのよ〜〜〜(旅行中ずっとお腹がいっぱいで、どんどん朝や昼を抜くようになっていた)。
 最後にメープルシロップティー。メープルの味ではなく香りだけだが、おいしい。おみやげに買ってかえって、すっかりこの風味にはまる。

 ケベック最後の夜が来た。だが意外に感傷的にはならなかった。
 ありがとう、ケベック。ありがとう、ブリュノ。また来るよ、必ず。

 まさかカナダでもう一泊するはめになろうとは、この時思いもしなかった。


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Bruno Pelletier Japan --- White, Light, Holy Night 5