[6] 空港で    

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■ 遅れる

 本来なら、前のページでレポは終わるはずだった。

 日本への帰国は、ケベックからトロントへ、トロントから成田へ、そして大阪へ、という乗り継ぎ2回のスケジュールである。乗り継ぎを調べていた時、ケベックからトロントへは朝5:50と9:20発があり、9:20だと乗り継ぎ時間が1時間ほどしかない。心配で5:50で予約をお願いしたが、旅行会社からはなぜか9:20の便でレスが来た。エア・カナダに問い合わせても、1時間あれば乗り継ぎは充分間に合います、とのことで、朝が苦手なこともあり、結局9:20の便でOKした。
 しかし・・・これが災難の元だった!

 ホテルを7時ごろに発ち、ケベック空港へ到着。そこで初めて日本人のツアー団体に遭遇した。海外で日本人団体客と一緒になるのはなぜかあまり好きではないが、ケベックでの想い出に浸りきっているので、さほど気にならない。
 ふと気づくともう9:20、そろそろ機内へ案内があってもいいはずだが、アナウンスを聞き逃しただろうか?・・・と思ってゲート入り口まで近づいた時、その日本人団体ツアーコンダクターとすれ違い、彼は「機材遅れで1時間半ほど遅れるそうです。」とツアー客に告げているではないか!

 ええ〜〜と思った時に同様のアナウンスがあり、係員に聞くと、やはり「便が遅れていますので、チェックイン・カウンターに行ってください」と言われた。だが、この時遅延の理由は特に言われなかったと思う。
 乗り継ぎ時間が1時間しかないのに、1時間半遅れたら、当然カナダ−日本の国際線には乗れない。カウンターの女性に、念のため他に日本へ帰る方法(便)はないのか調べてはもらったが、元々予約の段階でいろいろ調べていたから、ないであろうことはわかっていた。
 女性は申し訳なさそうに、「ありません」と答え、「ですので、明日の『トロント−成田』便に乗っていただくしかありません」。つまり、もう一日カナダに滞在しなければならないということだ。

 ・・・もし、5:50の便にしていたら、たとえ1時間半遅れても、間に合ったんだよなあ・・・。
 そういえば、ラス・ベガスに行った時も、行きのJALが1時間半くらい遅れたことがあった。この時、ロスで経由したのだが、乗り継ぎに余裕があったため、予定通りのベガス行きの便に乗れたのだ。この程度の遅れはさほど珍しいことではないのだろうか。
 しかしこの時私が思ったのは、「帰りでよかった」ということ。これが行きで、一日遅れてたら、ブリュノのコンサートが一日見られなかったんだから・・・!(よかったよかったよかった〜〜〜)

 だから、精神的にさほど打撃があったわけではなかった。それでも、予定外の行動を強いられるはめになったことに違いはなく、自分では結構余裕を感じていたつもりだったが、少し緊張と不安があったのだろう。しばらくカウンターで待っている時、BGMで流れている音楽が最初は耳にはいっていなかった。そして、聞こえてきた瞬間、とても驚いた。
 ・・・・え?・・・・これ・・・?!

 BGMとして流れているから、小さめの音だった。でも、これは・・・ブリュノだ、ブリュノの声だ、ブリュノの歌だ・・・!!!!!
 それはブリュノの古い歌「Manque de toi」だった。誰だって感激するでしょう、こんな時(笑)。
 私はそれまで街中でブリュノの歌を聞いたことがなかった。フランスに行った時、ガルゥもダニエル・ラヴォワも耳にする機会があったのに、ブリュノの歌と遭遇する機会はなかった。だから、一度くらい聞いてみたいと思っていた。それが、こんなところで、こんな時に・・・!
 泣いてる場合じゃないけど、少し目がうるんだ。ブリュノ、私を元気づけてくれてるんだね?(と勝手に解釈することぐらい許されるであろう) ちなみに歌のタイトルは、「君がいなくて寂しい」という意味。
 えらいぞ、エア・カナダ(いや正確にはケベック空港というべきか・・・)!一日帰国が延びたこともチャラにできるくらい嬉しい。

 が、しかし、そう思ったのもトロントに着くまでだった。



■ トロントにて

 「ケベックに滞在するのと、トロントで滞在するのと、お好きなほうをお選びになれますが、どうなさいますか。」と、ケベック空港でエア・カナダの係員は聞いてきた。
 そりゃあケベックのほうがいいに決まってるけど(笑)、万が一にもまたトラブルがあって、トロントへ行けなかったらそれこそ大変だ。コマは一つでも進めておいたほうがいい。そう思って、トロント、と答えた。係員は「すべてエア・カナダがお支払いします。ですが、トロントでのホテルがどこになるか時間がなくてまだわからないので、トロントの空港で係の者に聞いてください。」と言った

 まあ、すべてそちらで手配してくれるんなら、と安心していた。トロントに着いて、到着ゲートの近くにいた係員に尋ねると、少し調べて、チケットカウンターに行ってくれという。かなり歩いてやっとたどり着いたチケットカウンターは少々込んでいた。すぐ手前にコンピューターを置いた小さなカウンターがあり、係員がいたので、状況を説明した。
 ところが、その係員は、コンピューター上では「天候による遅延」と出ている、その場合は航空会社にホテル代などの負担義務はない、と言った。ケベック空港のエア・カナダの係員は全て払うと言ったんだ、と言うと、係員はチケットカウンターに座っていた年配の男性のところへ行って戻ってきて、「上司に聞いてみましたが、やはりだめです」との返事。ケベック空港の係員に電話で確認してくれと言っても、この電話は外線に通じてないので、としか言わない。じゃあ、私はどうすればいいんでしょう?と聞いたら、空港の案内カウンターに行けばホテルを紹介してくれる、とあっさり言った。

 ・・・話が全然違うじゃないか・・・!!
 私が予約していた便はANAとエア・カナダの共同運航で、一応私はANAの便としてチケットを買っていた。救いを求める気持ちで、ANAのリコンファーム用の番号に電話をする。こういう事態になって、日本語で話ができるのはありがたい。

 電話の向こうで、ANAの人も、「天候不良の場合は、航空会社はホテル代など負担しないのが普通なんです」と済まなさそうに言った。私はそこで、ツアーコンダクターが言った言葉を思い出した。「でも、機材遅れって聞いたんですけど」。
 もし機材遅れならばエア・カナダにホテル代を出してもらえるので、それを強調して粘ってみてください、とANAの係員。いくらコードシェアでもANAにはそれについて口をはさむことができないらしい。
 考えてみれば、天候不良といっても雪が積もっていたわけでもなかったし、第一それなら係員が全部払います、とは言わないはずだ。がんばろう。

 そして、もう一つ気になることがあった。ケベック空港では、翌日のトロント−成田便と、成田−大阪便は予約できました、と言われ、「confirmed(確認済み)」とプリントアウトしたものももらっていた。だが、チケットに日付の部分だけシールを貼り、その上から手書きで書き直しただけ。さらに、成田−大阪というのは便数が少なく、私の予約した便はすぐ満席になる便だった。
 同じANAへの電話で予約が取れているかどうか確認すると、「キャンセル待ち」の状態だという。・・・それで「確認済み」って・・・おいおい、エア・カナダ!
 遅延になったのはエアカナダなのでANAで国内線の変更を手配することはできない、エア・カナダから後続の便の予約を取り直してもらわないといけないという。私の持っている状態のチケットでは、成田−大阪間のチケットを買いなおさなくてはならないらしい。冗談じゃない(怒)!

 スーツケースをごろごろ押しながら、もう一度同じカウンターへ戻る。同じ人に交渉してみたら、「ANAの人は何か間違えているんでしょう」と言う。それでも粘ると、「じゃあ、チケットカウンターのほうへ行って」と言われた。
 チケットカウンターで事情を説明し、しばらく待っていると・・・なんと、あっさりとホテルのクーポン(食事付き)を出してくれた。・・・なんなんだ?
 そして、チケットも全部もう一度発券しなおしてくれた。これで大丈夫、らしい。・・・ほんとだよね・・・??(もちろんもう一度ANAに電話して確認しました・・・)

 はあ・・・疲れた・・・。ただの延泊だけなら、まだよかったんだけど・・・。

 ホテルへのシャトルバスを外で待った。ケベック空港からは日本まで外に出るつもりがなかったので、そういう格好しかしていない。さ、寒い!!しかも、走ってる車の上には20cmくらいの雪が乗っかってる!・・・ケベックよりも雪、降ってるじゃん!(泣)
 ダウンタウンから反対方向の周囲に何もなさそうな所のホテルに夕方到着したが、どこへも出かける気力もなく、ホテルで過ごす。ビジネスルームがあり、再びそこでネットで暇つぶし。相変わらず、ブリュノのオフィシャルサイトは機能せず。だが、メールが出来て友達ともコンタクトが取れたので、気持ちがなごんだ。

 ・・・というわけで皆様、飛行機が遅延なぞした場合は、「天候不良のため」か否かはしーーーっかり確認してくださいませね!!そして、乗り継ぎ便は、可能ならばできるだけ時間の余裕のあるものに!

 機内で、パスポートを眺めた。たまたまなのだが、2年半前にラスベガスへ行った時のアメリカからの出国スタンプと、今回カナダからの出国スタンプが並んで押してあった。ラスベガスで、ブリュノを知った。あれはブリュノに出会う旅だった。今回は、本物のブリュノに会うための旅・・・。

 成田に着いて大阪への便を待っていると、同じ時間帯発の札幌行きの便が「大雪のため、当空港へ引き返す可能性もございますのでご了承くださいませ」とのアナウンス。「うそーー」との悲鳴。ケベックより、日本のほうが雪深かったか・・・(笑)。

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ケベックの夕暮れ。(このページの文章とは無関係です)


おしまい

おつきあいいただき、どうもありがとうございました!


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Bruno Pelletier Japan --- White, Light, Holy Night 6