[5] 邂逅 

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この通路の奥に行くと・・・

■ 待つ

 さて・・・。
 この後、Mr.スタッフは本当にブリュノと会わせてくれるんだろうか。まあ、からかっている雰囲気ではなかったけど・・・。

 意を決して、「ここにおいで」と言われた友達の席のところへ行く。Mr.スタッフはファンたちとすでに談笑しながら待っていた。
 「ブリュノに君の事を話したら、彼は君が来ることを知っていたよ。」
 あ、やっぱり。ベルギーの友達が、ヨーロッパでのサイン会で、ブリュノにそのことを伝えたよって言ってたから(でも、だからって会えることになろうとは彼女も思ってなかったに違いない)。
 「じゃあ、行こう」と彼はスタスタと歩き出した。私は友達たちに「行ってきま〜す(日本語(笑))」と手を振り、ついていった。ケベコワのファンたちは、今まで山ほどブリュノに会ったことがあるせいか、それとも大人なのか、「いいな〜〜」というようなやっかむ雰囲気はなく、暖かく見送ってくれた。

 楽屋のほうに入っていって、Mr.スタッフはいろんな人に私を紹介してくれた。そ、そんなに紹介してもらっても、私、覚えられませんーー!(というより、向こうに私の顔を見せたかったのかもしれない)。

 狭い階段を下りた踊り場で、「ちょっとここで待っててね」と、しばし待たされる。15〜20分くらいだったかなあ。
 その間、3〜4人のスタッフが私の相手をしてくれて、ブリュノのコンサートを見るためだけに来たんだ、というと一様にみんな驚いて、どうやってブリュノを知ったのか、とか、日本からはどれくらいかかったのか、とか、いろいろ質問された。
 でも、みなさんとても暖かい雰囲気で、よく来てくれたねぇ、みたいな感じが伝わってきて、嬉しかった。1人、確かブリュノのツアー担当という人がいて(違うかもしれないけど、結構メインな役割の人だった)、「東京も考えにいれなくちゃねぇ」みたいなことを言うので、「日本に来てください!」とお願いしておく。
 
 待っている間に、すごく緊張してきて、体が震えだしてしまった!今までこんな経験ないよーー。Mr.スタッフが「Mew、大丈夫?」と心配してくれた。はい、ちょっとしたら収まりました。



コンサート機器を周りに置かれたマリア像
■ 扉の向こうに

 しばしいなくなったMr.スタッフが再び登場。「さあ、おいで。」
 通路を通って、Mr.スタッフが扉を開けたら・・・そこに立ったまま他の女性と話しているブリュノの横顔が見えた。
 
 ブリュノ!
 
 漠然と、部屋の奥のほうにいるかなと思っていたので・・・いきなりそんなところに立ってられると・・・びっくりするやんか!(そして体は固まる)

 ブリュノはしばらく話を続けていた。もちろん邪魔する気はない。でも、Mr.スタッフは私を部屋の中に招き入れて、ブリュノにMewだよーと声をかけている。邪魔しなくていいんだってば!
 待ってる間に、さっきまで一緒にしゃべっていたスタッフが、私のカバンやら手にしていたコートやら全部持ってくれた・・・(いたれりつくせり)。
 
 やっぱりコンサートの後って忙しそうだなあ。疲れてるだろうし。
 ・・・などと思っているうちに、お話は終わって、ブリュノは私のほうを向いてくれた。
 「Mew? How are you...?」それが確かブリュノが最初に言ってくれた言葉・・・だと思う(緊張していて、かなり記憶があいまい・・・)。そして、握手のための右手を差し出してくれた。

 実は私、春に右手を怪我していて、神経をやられてしまい、一見普通には動かせるけれど、動かすと痛くなる・・・というやっかいな状態。だから、もし、例えばコンサート後にサイン会などがあったら(そういう写真をみたことがある)、無理矢理にでも(笑)握手してもらいたい・・・と思っていた。おまじないみたいなもん?(笑)
 だから、ブリュノのほうから、しかもしょっぱなから右手を差し出してくれたことにちょっとびっくりした(それが礼儀なのかもしれないが・・)。その時のブリュノの右手は、しゃべっていた時の正面の顔よりはっきりと覚えてる。

 そして、ブリュノは「英語、それともフランス語がいい?」と言うので、私はとーってもたどたどしく(不可抗力)「私はあなたのフランス語が聞きたい」と言った。
 「コンサートはどうだった?」
 「とってもよかったです!(当然ですーー)」

少しだけ言葉を交わした後、ブリュノはお別れの挨拶に、私の両頬にbise(両頬にチュッ!チュッ!とする挨拶です)をしてくれた。ひ、ひえ〜〜〜〜〜〜(もちろん固まっている)。
 以前フランスで、友達のご主人が他のヨーロッパ人にはしていたbiseを、私には躊躇したことがあって、日本人にはそういう習慣がないことを知ってるからなんだな〜と思ったことがあった。後で思ったけど、ブリュノはそれを知らなかったんだろう。あーよかった、知らなくて(笑)。

 しかし、そこで私は思い出したことがあり、「あ、質問が・・・!」と引き止めた(おいおい)。
 「一番好きな楽器は何ですか?」と尋ねると、「オーケストラの中で?」とブリュノは少し怪訝そうな顔をした。そうそう、とうなづくと、「うーん、バイオリンかな」という返事。私は続けて、「昨日までは私が好きなのはオーボエだった。でも、今日からはあなたの声です」と言うと、ブリュノは照れたような、嬉しそうな、「なーんてこと言うんだい、こいつは!」みたいな顔をして笑った。あ、受けた・・・(いえ、受け狙いではなくて本心です)。

 それからブリュノは笑って「Bye!」と言って、向こうへ行った。今までビデオレターなんかで何度もブリュノの「Bye!」(←とてもかわいい)を聞いたことはあったけど、あれと同じだった(当たり前)。そして、今回の「Bye!」は私だけに対してなんだな・・・と思うと、やっぱり嬉しい(へへ)。

 ブリュノと一緒にいた時間はとても短かったと思う。でも、忙しい中、時間を割いてくれて、本当にありがとう、ブリュノ。
 コンサートの後にわざわざ会ってもらうなんて、もう2度とない。

 一晩で、夢が二つ、一度にかなった。一つはもちろんブリュノのコンサートを見ること。もう一つは、ブリュノと話をすること。
 
 会場の客席に戻ると、もう電気を消されて暗くなった座席に、友達が待ってくれていた。オフミの主催者だった彼女は、「どうだった?」と優しく聞いてくれた。私は彼女の胸で、いっぱい泣いてしまった・・・。

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Bruno Pelletier Japan --- Bruno, Bleu, Basilique 5