[4] 初めてのコンサート2 

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(ces photos à la deuxième soirée)

■ 愛と平和の歌

 第2部もやはりオーケストラの曲で始まった。
 そしてブリュノは次の曲を紹介した。「Enfants Oublies(忘れられた子供たち)」。私はこのタイトルを聞いて、びっくりした。
 今回の予習をするまでこの曲は全く知らなかった。だが、ノエル・ソングを検索していた時に、まずタイトルが忘れられなかった。注文したCDに入っていたけど、歌詞カードがなく(泣)、だから意味は半分くらいしかわかってはいなかったけど、「ひもじく、体は凍え、ほとんど裸で・・」と続くこの曲は、さほど回数は聞かなかったけど、心に残っていた。
 だから、ブリュノがこの曲を歌いだした時、きっとブリュノも同じようなものを感じたに違いない、と(勝手に)思って、少し嬉しかった。

 シューベルトのアベマリアを歌い終え、ブリュノは「このセクションは少し伝統的なノエル・ソングとは違うけれど、愛や平和といったものを歌いたいと思います」と言って、「Quand les hommes vivront d'amour」を歌いだした。
 「人が愛に生きるなら、もう悲惨な出来事は起こらないだろう・・・」
 これも、今まで聞いたものとは若干アレンジが違っていたけど、オーケストラとともに聞くと、さらに意味が深まって聞こえた。

 「It's a wonderful world」をゆったりと歌いあげた後、ジョン・レノンの「Imagine」だった。
 この歌は「お薦めリスト」の中にはいっていた曲で、なぜ彼女がこの曲をいれたのかはわからないけど、そのリストを見て、私もたぶん歌うだろうな、と漠然と思っていた。
 曲を知っていたから予習(笑)はしなかったけど、あらためてブリュノが歌っているのを聞くと、まるでブリュノの言葉のように聞こえた。「国がないって想像してごらん。難しくはないよ・・・」というところでは、「うんうん、私たちの間には国なんてないも同じだよね(ただし言葉の壁はある)」と思ったり。
 「人は僕のことをdreamer(夢想家)だというけど、僕は1人じゃない」。
 ここをブリュノが歌った時、私は即座に去年のブリュノの書き込みを思い出した。

 ブリュノはちょくちょくオフィシャルページにメッセージを書いている。去年のニューヨークでのテロ事件があって、私はブリュノがどういうメッセージを書くのか、あるいは書かないのか、とても気になっていた。事件から1週間ほどたった時に結構長めのメッセージが書かれた時、私はとてもどきどきしながら訳した。
 そのメッセージの中で、ブリュノは「僕は『理想主義者(ユートピア主義者)』に属してると思う」と書いていて、その言葉がジョン・レノンの「夢想家」という言葉とだぶった。

 うん、ブリュノ。あなたは1人じゃないよ。私も、たぶん、同じ考えだよ。
 




■ 楽器

 ブリュノが「Imagine」を歌い終えた時、なぜか友達が私にそれまで言ってくれた言葉が強く浮かんだ。
 私がこのケベック行きを決めた時、私にとっては一番古くからのブリュノファンの友人は、「Le Japon arrive!(日本が来る!)」と拡張文字で(笑)書いてくれた。右手を怪我した時には、「早くよくなってね。片手でどうやってブリュノのコンサートで拍手するの?」と言ってくれた。

 言葉もろくにできない私に、他のファンのみんなはとても優しかった。日本では入手不可能なブリュノの写真や記事やビデオを送ってくれた。ありがとう、みんな。みんなのおかげで、ここまで来れたよ・・・。
 いろんな思いでいっぱいになって、涙が止まらなかった。この夜のコンサートで、何度泣いたかわからないけど、この時が一番たくさん泣いた。

 続いてブリュノは、ブリュノ作詞・指揮者シモン作曲の「Ensemble(一緒に)」を歌った。歌詞をわかりきっていないので、あえて内容は語るまい(笑)。でも、やっぱりこれも「愛と平和」のテーマにふさわしい一曲だった。

 そして、「最後の曲」とブリュノが言った。もう?もう最後?アンコールはあるだろうけど(しっかり期待)、もう・・・?
 最後の曲「Adeste fideles」を、ブリュノは力強く、高らかに歌い上げた。アンコールは「Minuit Chretien」。どちらも、伝統的なノエル・ソング(予習済み)。よかった、とても素敵だったよ、ブリュノ・・・!!

 こんだけで終わるってことはないよね・・・?などと期待しながら、アンコールの拍手をしていると、ブリュノは「もう用意した曲は全部歌っちゃったんだ・・・」と言った(笑)。でも、録音として完成度を高めるために、と「Sainte Nuit」と「Ave Maria」をもう一度歌ってくれた。

 舞台を見下ろす形の遠い席からだと、ブリュノの姿は後ろのオーケストラのミュージシャンたちと溶け合って見えた。ああ、ブリュノ、あなたは楽器なんだ。あなたの声は世界で一番美しい楽器だね・・・。
 
 コンサートは終わった。
 でもまだあともう一度同じ曲を、同じ声を、ブリュノを聞けるんだ・・・と思うと、嬉しかった。


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Bruno Pelletier Japon --- Bruno, Bleu, Basilique 4