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    〜ドラキュラ・リヨンレポート2〜





    [2] 再び 


■ 再びドラキュラ

  リヨンは5年たっても、変わらずいにしえの風情をたたえた近代的な街だった。他のフランスの都市を知らないながらも、いつも思う。住むのならリヨンだ。大き過ぎず、田舎過ぎず、ほどよく新旧の文化が香る街、リヨン。世界遺産に指定された旧市街。トラブールと呼ばれる都会の中の迷宮。赤茶けた美しい屋根の波。フルビエールの丘にそそりたつ美しいカテドラル。
  そして、「ドラキュラ」。

  もう一度ぜひ見たいと思っていたドラキュラを見られる。チケットが取りにくかったこのリヨン公演は、補助席が出るほどの盛況。そして幕が開いた。

  それがケベックであれフランスであれ、感動に変わりはない。
  今回、ドラキュラ伯爵はなんとスポーツ刈りのような超短髪になっていた。以前の長髪で前髪はらりの耽美系伯爵に見慣れていた分驚いたが、違和感は数秒で消え去った。
  つまるところ、ブリュノ・ペルティエは一つところに立ち止まることを好まない挑戦者なのだ。それは決して悪いことではない。事実、この新しい髪型は、ドラキュラのスノッブな雰囲気に意外にも似合っていた。そもそもドラキュラが出てくるのはこの舞台では近未来の話だから、短髪であっても不思議はない。そして、後半フィジカルなシーンが多々出てくる分、さらにこの髪型のほうが合っているのだ。

  舞台は感動的で、ブリュノの演技も素晴らしかった。公演後の批評もおおむね好評で、「大成功」の文字が躍っていた。

  
  今回の公演で一つ、不思議な感覚に陥ったことがある。
  私がブリュノを見るのは今までそのほとんどがケベックだったので、舞台のブリュノを実際に目にすると、フランスにいるのにそこがケベックだと何度も錯覚してしまった。フランスではこの年初から公共の場での全面禁煙が開始されたが、禁煙と聞いて、カナダでもそうなったんだと思ってしまったり。
  もっとも、劇場でひとたび舞台が始まれば、そこはドラキュラ城・・・。夜な夜なドラキュラ城に通った私たちファンは、さながらドラキュラにその血を吸われてバンパイアになっていたかのごとくだった。



■ ありがとう
 

  今回、ファン・ミーティングの一環として、公演後にブリュノのサイン会が行われた。
  
  その前にブリュノと話す機会があった時のこと。ブリュノが私に尋ねてきた。「『ありがとう』って日本語では何て言うの?」
  「ありがとう」の言葉を私は何度か繰り返したが、ブリュノはなぜか同じ所で同じ間違いを繰り返していた(それがどういう間違いかを覚えられない私も同レベル)。そう、外国語は難しいんだよね、ブリュノ・・・。

  そのサイン会に向けて事前に用意されていたメッセージ・ブックは、国別にページを分けて、ファン1人1人からのメッセージを書くようになっていた。何を書けばいいのか思いつかなかったので、そこにフランス語の説明をつけつつ、しっかりひらがなとローマ字で「ありがとう」を書いておいた。10数カ国から参集したファンからの分厚いメッセージ・ブックだから、ブリュノも大事に残しておいてくれるだろう。そこにひらがなを残せたのは嬉しい。いつの日か日本に来たあかつきには、それで復習してね、ブリュノ。

  そのメッセージ・ブックを渡されたブリュノは、ファンの前で国名を一つ一つ読み上げていった。そのたびに、該当国のファンが「はーい!」と手を挙げて返事をする。フランスやベルギーの大量のファンの後、「日本」が呼ばれた時、私も1人で元気よく「はい!」と返事。なぜだか起こった暖かい笑い(元気が良すぎたからなのか、日本といえば私しかいない(と皆が思ってる)からなのかは謎)。クラスの中でブリュノ先生が点呼を取ってる図、という感じで楽しかった。

  ちなみに、フランス語で「またね」という意味の「アビアントー」は、それを初めて聞く日本人には「ありがとう」に聞こえるらしい。日本では別れ際に「ありがとうございました」と言うことも多いから、「アビアントー」と聞いて「ありがとうございました」と返す初心者は多いそうだ。

  というわけでブリュノ、「ありがとう」、わからなくなったら「アビアントー」に似てる発音の言葉ということで・・・。え?よけいに混乱する?(いやもう、なんならフツーにアビアントーでもいいんじゃないかと・・・)

   「彼」と「彼女」が出会う街は、「またね」につながる「ありがとう」という言葉で終わりを告げた。

  次がいつになるかはわからない。だが、私はまた行くだろう。私を魅了してやまない唯一の歌声が、世界のどこかにある限り。



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「二つの川が出会う街 〜ドラキュラ・リヨンレポート〜」 2 (Jan 2008

Bruno Pelletier Japan